ヨーロッパ、東南アジア、インド・・・
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インド 1章

ビビりが行くインドの旅

エイビーロードで、格安航空券を探した俺は
安い経由便を見つけて、数件の旅行代理店に電話を入れた。

結果は、満席と直近過ぎて受付終了というものだった。
仕方なく、エア・インディアの直行便で妥協した。

少し高かったが、これ以上日程を遅らせるわけにもいかず
最良の選択として納得することにした。

兎にも角にも、これで逃げられない。

かなりの不安もあるが、行くしかなくなった。

いつもの旅の持ち物をカリマーのバックパックに詰め込み
家を出た。

いざ、インドへ

いつも通り、成田空港から出発する。

直行便というくらいなので、成田からデリーまで
ノンストップで行くものだとばかり思っていた。

しかし、飛行機はバンコクで一度給油の為に着陸。
この際、バンコクまでの人は降りて、バンコクからデリーに向かう人が
新たに乗り込んでくる。

俺もみんな下りてくから、一度下りたほうがいいのか
気になっていたが、結局乗りっぱなしで大丈夫だった。

ただ、機内掃除の人が数十名入ってきたので
かなり居心地は悪かったけど。

掃除も終わったところで、新たな乗客が乗り込んできた。

ここからが最悪。
インド人の学生と思われる若者がどどっと入ってくる。
バンコク旅行の帰りだろうか。
これ程たくさんのインド人を見たのは、初めてだったが
とにかくうるさい。

バンコクまでは、空席もあって右3列の通路側の席だったが
隣に誰も来なかったため、窓側に座っていた。

だがバンコクからは、ほぼ満席。

しかも俺の周りは、ほぼその学生が占めてて
後ろと話したり、隣と話したり、前のやつと話したり。
俺の前を何度も行ったり来たり。
とにかく落着きがない。

野犬に囲まれて、子犬のように怯える俺にCAが、
「もしよろしければ、あちらの空いてる席に移りますか?」と声をかけた。

「結構です」と余裕の笑顔で答えたことを、この後激しく後悔した。
むしろ、断った自分に一番腹が立った。

この時すでに、インド人のモラルの低さを感じていた俺は
今日から始まる楽しいはずの旅に暗雲を感じ始めていた。

同時に、この旅は絶対に今までとは違ったものになるという確信が生まれ、
不安なんかはどこかに飛んでしまっていた。





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