ヨーロッパ、東南アジア、インド・・・
   異なる文化、温かい人達との出会い

      

      

インド 2章

本当にインドにきちゃった

予定の時間より多少遅れて飛行機は
デリーの空港に到着。

少し離れた空港まで、バスで向かう。
このパターンはアジアで多い気がする。

その車中で、一人の日本人を発見。
某自動車メーカーの方で、デリーに建設中の工場に
来たらしい。
帰るのが3か月先か、半年先か分からないと言っていたが
俺と同じかちょっと上くらいで、国を越えて仕事をしているのが
格好よくみえた。

入国審査も終わったところで、手荷物の受け取りに行く。

ニューデリーの町まで、タクシーで行こうか、バスで行こうか
迷ってたけど、初インドでの移動で心配もあったので
空港で誰か探そうと思っていた。

ここを逃すと、もう外はインド。

幸い、なかなか手荷物が出てこなかったので
動き回りながら人を物色する。

ツアーっぽい人は、移動が決まってるだろうから避けて
なるべく一人旅な感じの人を選ぶ。

この人だ。
外見がいかにも旅慣れた感じがして
安心感がある。

荷物を受け取り、出口の方に向かうと
両替所のとこに彼はいた。

「こんにちは。いくら位両替しました?」

「あ、どうも。とりあえず100ドルだけ。」

「じゃ俺も100ドルにしよ。」

どうやら、彼もインドは初めてらしく、
まずはニューデリーの安宿街に向かうつもりだったらしい。

それなら俺も同じ。
一緒にタクシーで向かうことにして出口に向かうと

「すみません、混ぜてもらっていいですか?」
と、男性が近づいてきた。

彼もかなり旅人臭が出ていて、チェックしていた。

髪は、かなりの長髪で侍のように縛っていて
格好もバックパッカーを感じさせる。

彼も一人で空港から出ることを避けたかったらしい。
結局3人で行くことに。

一歩空港から出ると、名前の書いたボードを掲げる人の列が
延々と続いている。
そこにも、インド特有の胡散臭さが感じられた。

その列が途切れて屋外に出る。
モワッとした独特の熱気と匂いに、
インドに着いた事を実感させられる。

東南アジアに行った時もそうだったが、
これがかなりの快感。

テンションが一気に上がる。

出てすぐ右に、タクシーのチケット売り場があった。
そこに並んだ時に、女性が話しかけてきた。

「ニューデリーに行くんだったら混ぜてもらえませんか?」

どうやら、女性で一緒に行ける人を探していたらしいが
見つからずに、俺らに声を掛けたらしい。

彼女も一緒に行くことになり、チケットを購入。
1台で260ルピー(750円ほど)だった。

タクシーに近づくと、男性がチケットを受け取り
彼のタクシーに荷物を積みこみ、出発した。

初日の宿へ移動

行きの車中では、名前、どの位の期間の旅か、
日本では何をしているのか、というお決まりの話題へ。

最初に両替所であった男性は、ヨシさん。
群馬でラフティングガイドをしていて3ヶ月の旅。
2人目の男性は曽根さん。美容師を辞めて
彼も3ヶ月の旅だという。
最後の女性はユキさん。普通にOLをしていたが
辞めて、半年の旅の最中。
インドから旅を始めて、一度東南アジアを回ってから
戻ってきたとこらしい。

みんな30〜32歳で俺が、一番年下だった。
なんだか、こんな日本人との会話が一番楽しかったりする。

タクシーは、結構狭くて、ヨシさんが助手席に座り
残りの3人が後部座席に並んだ。

インドの運転は、かなりマナーが悪い。
とりあえず、クラクションが鳴り止むことはない。
早く行け、どけ、邪魔だ。
とにかく車が止まるたびに鳴らすし鳴らされる。
常にプープー言ってる。

車間距離も全然とらないし、全く譲り合うということはない。
急ブレーキなんかも当たり前。
まさにイ・ン・ドと言った感じ。

しばらく、そんなインドのドライブを楽しみ
ニューデリーの安宿が集まる、「メインバザール」に到着した。

ユキさんが、デリー滞在中にいたというStar Paradiseへ
みんなで向かうことにした。

中に入ると、ユキさんは「久しぶりー」と言って
そこの宿のおじさんに歩み寄っていった。
彼も、よくきたねと言いながらも残念ながら満室とのこと。

すぐ近くの姉妹店Star Palaceを紹介してもらった。

そこはわずか10mほど行ったところにあった。
中に入ってみると、シングルで4つ空いているというので
ここに泊ることにした。
1泊300ルピー。

中は、改築中の部分もあり、なんだか埃っぽい感じもした。
部屋の中は、いたってシンプルな作り。

みんなで少し街を散策しようと言ってたので、
待ち合わせのロビーに行くと、ユキさんだけがいた。

しばらく待っても2人は来ない。
次第にユキさんが待ちきれないといった感じで
ご立腹になってきた。

俺は「そんなカリカリしないで下さいよー(笑)」
なんてなだめて、2人の部屋に様子を見にいった。

すると、ヨシさんは既に部屋でビールを飲んでて、
もうちょいしたら行くよ、なんてのんきな感じ。

曽根さんは、準備を終えて来たところだった。

そこに、若い日本人女性が
「地球の歩き方持ってますか?」
と話しかけてきた。
俺が見せると、親からインドに送ってもらったガイドブックが
あまり役に立たなくて、情報が欲しかったらしい。

この子は聖子ちゃんと言って、24歳の子だった。
オーストラリアに2年間留学して、日本に帰る途中に
アジアを3か月間旅してるのだという。

次の日に、アグラーに行きたいのだが、
日帰りツアーにしようか、荷物を持って行ってしまおうか
迷っているらしかった。

そうこうしているうちにヨシさんが登場。
4人そろったところで外出した。

道は土でできていて、そこら中に牛がいる。

大人しくて何も危害を加えないけど、最初は
かなりビビった。
町全体が、まさに牧場みたいになっている。

しばらく歩いていると、怪しいインド人が声をかけてくる。
旅行者向けの、こういう商売人はそこら中にいる。

「ハッパ、ハッパ」

どうやらかなり安く売ってるようだった。

時間が時間だけに、店も閉まってるし、
人もいなかったので、宿に戻って食べることにした。

宿の屋上が、レストランになっていて
そこで焼きそばやポテトフライとかを頼んで
ビールを飲んだ。

フレンドリーなゲストハウスのスタッフも混ざって
夜中まで盛り上がり、寝ることにした。

ちなみにインドは、宗教的にお酒を飲まないので
売ってる店やレストランはかなり少ない。
むしろ、違法行為になるらしく、コソコソと飲まないといけない。

酒好きの俺にとっては、物足りなさも感じていたが
これもインドの一つの文化として、考える事にした。






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